がんの種類や治療法
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医療保険を検討するときに、大きな病気として「がん」という病気を意識する機会も多いかと思います。
がんは、身近にある発がん性物質(タバコ、排気ガス、アスベストなど)だけではなく、食生活や運動不足でも起こりうる生活習慣病であり、誰にでもなる可能性のある病気です。
もしもがんになってしまうと「余命宣告されてしまう」というような怖くて悲観的なイメージのある病気ですが、現代では、定期的に検診を行い早期発見での治療を行うことにより、ほとんどのがんは治すことができるのです。
そのために、多くの保険会社から販売されているがん保険では、「がんを治すための保障」として、さまざまな保障のしくみがありますが、一体どんな保障を持っていれば安心できるか悩まれる方も多いのではないでしょうか。
万が一がんになってしまった場合、どのような治療法があるのかについて確認しておきましょう。
がんの治療法
がんの治療では、がんのある部分に対して治療を行う手術や放射線治療といった「局所療法」と、全身に広がったがんに対する薬物療法(抗がん剤治療)といった「全身療法」に分類され、これをまとめて「三大療法」と呼んでいます。
がんの進行度を知るための指標として、ステージ(病期)という数値があり、がんの大きさや、リンパ節への転移があるかどうか、そして他の臓器への転移があるかといった基準から判断されるものです。
がんのステージ(病期)
ステージ0 | がんが上皮内にとどまっていて、リンパ節には転移していない状態 |
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ステージⅠ | 腫瘍が少し広がっているが筋肉の層までにとどまっていて、リンパ節には転移していない状態 |
ステージⅡ | リンパ節には転移していないが筋肉の層を超えて浸潤している状態 または腫瘍はひろがっていないけれどリンパ節に少し転移している状態 |
ステージⅢ | 腫瘍が筋肉の層を超えて深く浸潤していて、リンパ節にも転移している状態 |
ステージⅣ | がんが臓器の壁を超えて周りの欠陥や臓器にまで転移している状態 |
このステージ(病期)によっても治療法は大きく変わり、がんの種類や場所も考慮しながら、三大療法やその他の治療法をそれぞれ組み合わせて治療していくこととなります。
三大療法は具体的にこのような治療効果があると言われています。
手術療法
がんの病巣や、その臓器の周辺組織・リンパ節などに転移したがんを切除します。
ある程度進行しているがんであっても切除可能な状態であれば一気に取り除くことができ、検査でもわからないほどの小さな転移がなければ、完治できる可能性も高いため、積極的に行われる療法です。
ただし、身体にメスを入れてしまうので、傷の回復や全身への負担が大きく、手術した場所によっては臓器や身体の機能が失われるといったデメリットも存在します。
最近では、身体への負担が少なくなるような技術も進んでいるようです。
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- 縮小手術
- 切除する範囲を必要最小限にして、臓器の機能を残すように行われる手術です。
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- 腹腔鏡下手術、胸腔鏡下手術
- 小さな穴をあけて内視鏡(小型カメラ)を使いながら手術をする方法です。
身体への負担が少ないため、回復が早く臓器の機能も保持しやすくなりますが、熟練した経験が必要であり、長時間の手術となりやすいようです。
また、がんが大きく広がっている場合や場所によっては、適さない場合もあります。
その他にも、進行を遅らせる目的の「姑息手術」や、臓器の機能を守る目的の「機能温存手術」といった手術を行うこともあるようです。
放射線治療
放射線をがんの病巣にピンポイントに照射して、がん細胞を死滅させる治療法です。
技術の進歩によって、がんの大きさを正確に測り、その部分だけに集中的に照射することで、効果を高めて身体への負担が少なくなります。
ちなみに、先進医療として有名な陽子線治療や重粒子線治療(炭酸イオン線)もこの放射線治療に該当します。
身体の外側から照射する「外部照射」だけではなく、放射線を密封した針やカプセルを挿入する「密封小線源治療」や、薬や内服で投与する「放射性同位元素内用療法」といった「内部照射」もあり、前立腺がんや子宮頸がんなどではこういった治療法が用いられ、入院による治療が行われます。
副作用としては、全身倦怠感や吐き気、照射部位が一時的な炎症を起こすなどの症状が現れることもあるようです。
薬物療法
おもに抗がん剤などの薬を、点滴や服用によって体内に取り入れ、増殖を抑えたり、死滅させたりする治療法です。
「局部療法」の手術や放射線治療とは違い、血液やリンパを周って全身のがんに効果を発揮する頼もしい治療法です。
ですが、がん細胞だけではなく正常な細胞までも攻撃することがあるため、副作用も強く現れますが、現代では吐き気や白血球の減少を抑えるなどの、抗がん剤の副作用を緩和させる薬の開発も進んでいて、負担をできるだけ軽くしながら治療を受けることが可能となってきています。
抗がん剤の副作用としては、脱毛・吐き気・倦怠感・しびれ感・肝臓や腎臓、造血器官への障害が起こるなどといった症状があるようです。
治療を受ける前には、医師にきちんと説明を受け、理解してから臨まなければいけません。
その他にも、乳がんや前立腺がんといった、ホルモンが密接に関係している部位に対しては、「ホルモン療法」という、特定のホルモンの分泌や作用を抑制することで、再発や転移を抑える治療もあります。
その他
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- レーザー療法
- がんは再発や転移をしやすいという性質をもっているため、治療後にも注意が必要な病気です。
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- 緩和ケア
- 最近ではとても重要視されており、がん自体の痛みや辛さを軽減させる他にも、落ち込みや悲しみといった精神的苦痛をケアするもので、治療初期から専門のチームが全面的に支援してくれるというものです。
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- 温熱療法
- がん細胞は熱に弱いという性質を利用して、加熱することでがん細胞を弱体化させます。
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- 免疫療法
- 人間に本来備わっている免疫力を向上させて、がん細胞と戦う治療法です。食品やワクチンを注入することで、免疫細胞を活性化させるなどの方法があります。
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- 光免疫療法
- 最先端の治療法で、近赤外線に反応する物質を加えた抗体を静脈注射で体内に取り入れることで、がん細胞の周りにいる制御性T細胞と結合させ、そこに近赤外線を照射する方法です。それにより休眠状態だった免疫細胞が目を覚まし、がん細胞と戦い死滅させます。
画期的と言われる理由のひとつに、他の部位の転移したがんにまで効果が現れるという点です。
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- 凍結療法
- 温熱療法とは逆で、がん細胞を凍結させて壊死させる治療法です。死滅したがん細胞は自然に身体から排除されます。
先進医療と自由診療
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- 先進医療とは?
- 特定の大学病院などで研究・開発された後にある程度実績を積んで確立され、厚生労働大臣により「先進医療」として認められたものを指します。先進医療を受ける際の診察料、検査料、投薬料、入院料などは公的医療保険が適用されますが、一方、先進医療の技術料は公的医療保険の対象外で、全額自己負担です。
関連ページ
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- 自由診療とは?
- 簡単に言うと、厚生労働省が承認していない治療や薬を使用する診療を指します。公的医療保険が適用されないため、全額自己負担となります。
なお、保険診療と自由診療を組み合わせて受けた場合は「混合診療」となります。混合診療の場合、保険診療の部分まで全額自己負担しなければなりません。
先進医療と自由診療の違い
先進医療 | 自由診療 | |
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概要 |
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費用 | 技術料のみ全額自己負担 (診察料、検査料、投薬料、入院料などは公的医療保険が適用される) |
全額自己負担 |
ここがポイント!
がん治療で先進医療や自由診療を受ける場合は治療費が高額になる場合があります。
いざというときに納得のできる治療を選択できるよう、がん保険で備えておきましょう。
まとめ
治療方法を見ていくと、やはりがんが見つかり最初に手術や放射線治療といった治療を受けることが多く、その際には高額な治療費用がかかることが予測されます。2年目以降は定期検査や抗がん剤治療がメインとなることが多いようですが、そこにかかる費用は継続的に受けるという点では油断できない部分ですね。
最近のがん保険での主流となりつつある、「診断一時金」では50万円から100万円程度、その他にも放射線治療や抗がん剤治療といった「受けた治療に対して給付金が受け取れる保障」のものに加入しておけば、1年目の治療費や2年目以降も継続的にかかる費用に合理的に備えられるのではないでしょうか。
監修者情報
監修者
林田 憲治
(2級ファイナンシャル・プランニング技能士/株式会社アイ・エフ・クリエイト)
『お客様へ寄り添った案内』をモットーに、
スタッフ一同、親切・丁寧に分かりやすくご説明させていただきます。
掲載している情報は記事更新時点のものです。最新の情報と異なる場合がありますのでご注意ください。
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