働けなくなったときの公的保障とは
もしも病気やケガにより働けなくなったときには公的保障制度によって一定の範囲で守られています。
おもに3つの公的保障制度がありますので、働けなくなったときに、どのくらいどのような保障が受けれるのか確認しましょう。
3つの頼れる公的保障制度
傷病手当金[毎月お給料の約2/3を通算1年6か月間受け取れる]
傷病手当金とは、会社員の方が業務外の病気やケガなどで入院や通院治療での自宅療養になるなど、業務外での病気やケガで働けなくなったときに、休業4日目以降から通算して1年6か月に達する日まで給付を受けることができる所得補償の制度です。
支給要件
仕事を休むことにより給与がもらえない期間の生活保障のために支給されるもので、以下の条件を満たす必要があります。
- 病気やケガの治療や療養のため、これまでの仕事ができない状態であること
- 連続する3日間の待機期間を含み、4日以上仕事を休んでいること
- 給与(報酬)の支払いがない、または、その支払額が傷病手当金より少額であること
傷病手当金を受けるために必要な条件の中には「待機期間が3日あること」という定めがあり、病気やケガによる3日間の働くことができない状態であればこの受給条件を満たします。病気やケガにより会社を休んだ日が飛び石の場合は待機期間が成立せず、下の図のように連続した3日間と決められて、4日目以降からの支給開始となります。
「待機3日間」の考え方
待機期間は、土日祝日や有給休暇を利用、または早退した日からの起算であっても構いませんが、その期間も医師による「病気やケガにより働くことができない状態です」という診断は必要です。なお、傷病手当金を受給できる期間は、支給を開始した日から通算して1年6か月に達する日までと定められています。
途中で一旦は職場復帰したのちに休職することもあるでしょう。そういったケースでは、支給期間が通算1年6か月に達していない場合に受給を再開できます。
支給金額
傷病手当金の1日あたりの支給金額はこのような計算方法で算出されます。
およその目安は平均標準報酬日額の2/3となります。
留意する点
休職となった病気やケガと同一の原因により、障害厚生年金または障害手当金が支給される場合には傷病手当金はもらえませんが、受給している年金額の1/360が傷病手当金の日額よりも少額であれば、差額がもらえます。
通勤途中や業務中のケガなどによる休職であれば、労災保険から休業補償給付が支払われますので、その場合も傷病手当金はもらえません。
- 国民健康保険に加入している自営業者は受けることが出来ない
- 傷病手当金は支給開始日から通算して1年6か月に達する日まで支給される
- およそ平均標準報酬月額の2/3が支給される
これらを認識して留めておきましょう。
障害年金[毎月まとまった額を受け取れる]
障害年金は、病気やケガによって生活や仕事が困難になった場合に受けとれる年金です。
通常の老齢年金では、60歳(~65歳)になったら支給されますが、以下の条件を満たしている場合には65歳以前であっても請求することで障害年金として支給されます。
- 初診日において65歳未満であること
- 障害認定基準を上回る障害状態であること
- 保険料を一定以上未納にしていないこと
自営業の方 | 会社員の方 | |
---|---|---|
障害基礎年金 (1.2級) |
○ | ○ |
障害厚生年金 (1.2.3級) |
× | ○ |
障害手当金 (上記年金要件を 満たさない場合) |
× | ○ |
国民年金に加入している方は障害基礎年金のみですが、会社員の方であれば障害厚生年金が上乗せして支給されるしくみとなっています。また、障害基礎年金の支給額は、2級の場合では年779,300円(平成29年4月~)で、1級の場合や配偶者・18歳未満の子どもがいる場合には、それぞれの加算額が上乗せされます。
障害厚生年金については収入によって支給金額は異なりますが、3級であっても支給対象となり、支給額には最低補償額が設定されていますので、年金額が下回る場合には年584,500円の最低補償額が受け取れるしくみになっています。
さらに障害厚生年金には、3級には満たないが障害が残ってしまったときの「障害手当金」というものが用意されています。
- 傷病の初診日に厚生年金に加入していた
- 保険料納付要件を満たしている
- 5年以内の治った日に障害状態に該当する
これらに該当すると、年金ではなく一時金として受給することができます。
障害年金では、幅広い範囲の傷病をカバーしていますが、中には対象外の傷病も存在します。また、手続きに関しても複雑なため、申請の際には専門の方に相談した方がスムーズでしょう。
生活保護[約8~16万円前後受け取れる]
本当に生活が困窮してしまった場合には、最終手段として国の生活保護があります。
なぜ最終手段かというと、受給するための要件が厳しく「生活保護がないと生きていけない」ことを証明できなければ認定されません。受給するためには次のような要件が挙げられます。
- 貯蓄や不動産などの資産が全くない
- 病気やけが、または年齢による理由で仕事ができない
- 援助してくれる身内がいない(扶養照会も拒否される)
- 車の所持も不可(特例によっては許可が下りることもある)
- 年金・手当や収入を合わせても厚生労働省が定める月の最低生活費を下回っている
生活保護が必要と認められた場合に支給される金額は、厚生労働省が定める基準の最低生活費(地域により異なる)に満たない差額が扶助されます。
主な扶助の種類
日常生活に必要な費用 | 生活扶助 |
---|---|
アパート等の家賃 | 住宅扶助 |
義務教育の学用品費 | 教育扶助 |
医療サービスの費用 | 医療扶助 |
介護サービスの費用 | 介護扶助 |
出産費用 | 出産扶助 |
就労に必要な 技能取得費 |
生業扶助 |
葬祭費用 | 葬祭扶助 |
受給するためには、場合によっては失わなければいけないものも出てくる可能性もありますが、それでも生活していくことが困難と感じたときには利用できる手段です。
監修者情報
監修者
林田 憲治
(2級ファイナンシャル・プランニング技能士/株式会社アイ・エフ・クリエイト)
『お客様へ寄り添った案内』をモットーに、
スタッフ一同、親切・丁寧に分かりやすくご説明させていただきます。
掲載している情報は記事更新時点のものです。最新の情報と異なる場合がありますのでご注意ください。
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