医療保険

入院費用の相場はいくら?医療保険の検討の際に考えたいこと

もしも病気やケガで入院した場合、数日間の入院で済めば高額な治療費はかからなくてすみますが、ガンや脳血管疾患、心疾患などの病気での入院は長期間になる事が多く、治療費が高額になってしまうため、家計に負担を与えてしまいます。また、入院の間は仕事も出来ず収入も減ってしまうので、さらに家計への負担は大きくなってしまいます。ここでは実際に入院したときにかかる費用についてご紹介いたします。

■もくじ(ページ内リンク)

医療費の仕組みとは?

入院費用はどれだけかかる?

公的医療保険を土台と考える

医療費の仕組みとは?

医療費の大半は、健康保険や国民健康保険などの医療保険が負担してくれるので、実際にケガや病気で治療費がかかったときに支払う金額は医療費の全額ではなく、一部(通常3割負担)となります。医療を受けた本人が支払う必要があるのは、下記のとおりです。

① 自己負担分と外来薬剤・入院時の食事代の一部
② 医療保険の対象外である差額ベッド代など
③ 雑費(衣類、日用品代、電話代など)
の総額となります。

だた、ひと月の自己負担分が自己負担限度額を超えると、その超えた分が後で戻ってくる、「高額療養費」という制度があります。自己負担限度額は、年齢や所得の状況などで違います。70歳未満の人で事前に高額療養費制度を使う事が分かっている場合は、あらかじめ健康保険限度額適用認定証を申請しておく事で、窓口での支払いを自己負担額までにとどめる事が可能です。尚、健康保険・共済・船員保険、国民健康保険の自己負担の割合は年齢により異なり、1割〜3割負担となります。70歳以上になると自己負担割合が1~2割と負担が軽くなりますが、収入が現役並みにある場合は、3割負担です。また、2022年10月1日より、75歳以上で一定以上の所得がある場合の自己負担割合が1割から2割へ変更になりました。

高額療養費制度の詳細は医療費の自己負担額が高額になってしまったら?のページをご参照ください。

入院費用はどれだけかかる?

ケガや病気の種類や年齢などによって、入院日数や費用は様々です。平均的にはどの位になるのでしょうか?患者さんが入院した平均日数は、全年齢階級の平均で32.3日です。35歳〜64歳では24.4日、65歳以上では40.3日となっています(出典:厚生労働省)。入院日数は全年齢において、年々短くなっています。そのため、以前は入院5日目などから保険金が支払われる商品が多かった医療保険ですが、最近では入院1日目から支払われるタイプや、日帰り入院でも支払われるタイプが主流です。昔加入した保険であれば日帰り入院から支払われないケースもあるため、一度加入中の保険の内容を確認してみましょう。また短期入院が増えたことで、1日でも入院したら5万円や10万円など、まとまった金額が受け取れる入院一時金も人気です。

入院の費用ってどのくらいかかるの?のページでも分かるとおり、入院した時の自己負担費用の平均額は19.8万円です。入院時の自己負担費用で最も多い金額は、10~20万円未満が33.7%、次いで5~10万円未満が26.5%、20~30万円未満が11.5%です。

また、令和4年度の生命保険文化センターの調べによると、1日あたりの自己負担費用の平均は20,700円と試算されています。もちろん平均の金額なので、1日あたりの自己負担費用が20,700円よりも低い場合もありますし、高くなってしまう場合もあります。入院すると通常の生活では予定していなかった支出がプラスでかかってきますので、どうしても家計の収支バランスが崩れやすくなります。突発的な医療にかかる自己負担費用を減らし、家計への負担を軽減するためにも民間の医療保険への加入を検討することも大切です。

※出典:生命保険文化センター「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査

公的医療保険を土台と考える

医療保険の土台となるのは、健康保険や国民健康保険などの公的医療保険です。民間の医療保険は、公的保険ではまかないきれない分をカバーするための備えとして検討すると保険料を払いすぎてしまうことも避けられるかと思います。

また、公的医療制度ではさまざまな助成がありますので、万一の時には上手に活用して負担を軽減しましょう。たとえば、病気やケガで休職をする場合は傷病手当金の給付を受けることができます。継続して3日以上欠勤し賃金が支払われない場合、4日目から傷病手当金が健康保険により支払われます。傷病手当金の支払い日額は、標準報酬日額の3分の2です。

1日あたりの支払い額=[支払開始日(1番最初に給付が支給された日)以前の12ヶ月間の各月の標準報酬月額を平均した額]÷30日×2/3

また、出産の際に欠勤し、賃金が支払われない場合も出産手当金が健康保険から支払われます。出産の42日前(多胎分娩の場合は98日前)から産後56日までの間を対象としています。傷病手当金と同じ計算方法で欠勤1日につき標準報酬日額(標準報酬月を平均した額÷30日)の3分の2を受け取れます。もし出産予定日が遅れた場合にも、遅れた日数分の給付日が増えるようになっています。仕事を持つ女性には、嬉しい制度ですね。

このように高額療養費制度をはじめ、公的医療制度の活用を土台とて考え、不足分に対する備えを検討していきましょう。

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この記事を書いた人

奥寺 佳彦

株式会社アイ・エフ・クリエイト

日本FP協会認定ファイナンシャルプランナー(AFP)