生命保険の基礎知識

生命保険の申込の告知で嘘をついたらどうなる?

生命保険の申込の告知で嘘をついたらどうなる?

生命保険に加入する際は、被保険者の健康状態を保険会社に伝える「告知義務」があります。告知の内容によっては加入が断られるケースもあるため、持病があるにも関わらず正確な告知を行わない事を考える場合もあるかもしれません。ですが、それは「告知義務違反」となります。告知義務違反をすると、保険料を支払っても保険金が支払われないのです。では告知義務とは何か、告知義務違反をするとどうなるのか、詳しくみていきましょう!

■もくじ(ページ内リンク)

告知義務とは?

告知義務違反に該当するとき

告知義務違反をするとどうなる?

保険契約の解除という事は?

 

告知義務とは?

告知義務 生命保険契約を結ぶ場合に被保険者や契約者は、保険会社の求める病歴や健康状態など、「重要な事項のうち、告知を求める事項について」事実を伝えなければいけません。この事を「告知義務」と言います。
告知義務者 契約者および被保険者が、告知義務を負います。
告知の方法 被保険者が保険会社が定めた告知書(告知欄)へ記入する方法。
被保険者が告知書に記入し、会社などで受けた健康診断書を添付する方法。この場合も医師の診断は必要ありません。
被保険者が告知書に記入した上で、生命保険面接士と面談を行う方法。生命保険面接士が面談時に診査と外観の観察を行ない、その結果を面接士から保険会社へ提出します。
医師が被保険者へ告知書に基づいた質問し、ありのままを正確に回答します。医師は被保険者の回答を記入し、被保険者は医師によって記入された告知書を確認の上、署名します。

上記の表に記載しているとおり、告知義務とは保険契約を結ぶ際、保険会社から求められた内容についてありのままを正確に記入しなくてはなりません。保険会社は記入された告知義務の内容によって、加入を希望される方のリスクが高いかどうかを判断されます。加入を希望する方のリスクが高いと判断された場合、保険会社から見ると保険金を支払う可能性がそれだけ高くなります。

保険は相互扶助のしくみで成り立っているため、契約されている方のリスクをなるべく同じレベルに保たなくてはなりません。これは、大勢の人が少しずつ「保険料」を出し合って、万一の時は集まったお金の中から「保険金」を出すという助け合いの精神で作られたしくみです。このしくみによって、一人ひとりが負担する保険料は少なく、でも万一の時は集まったお金で備えることができるのです。

「大勢で万一の事態に備える」というしくみなのであれば、一人ひとりのリスクが同じでないと不公平ですよね。そこで、告知義務によって保険金支払いのリスクが高いと判断された方は加入できない場合があったり、部位不担保といって身体の特定部分だけ保障しなかったり、保険料が高くなったりするのです。

告知義務違反に該当するとき

・ 告知書に記載していることがらについて、故意または重大な過失によって事実を告知されなかった場合や、事実と違うことを告知された場合

これらを行うと「悪意重過失」として、ペナルティが発生します。悪意過失とは告知すべき重要な事項であることを知っていてわざと告知しなかったり、少し注意すれば告知すべき重要な事項であることがわかるのに告知しなかったりする場合を言います。

故意の告知義務違反は絶対に行ってはいけませんが、故意ではなくても違反となってしまう場合があります。風邪などご自身にとってはささいなことがらであっても、医師の診察を受けた場合は告知が必要になる場合があります。告知を行う際は自己判断せず、些細な事でも病歴や通院暦を正確に告知する事が大切です。また、記入すべきか判断がつかない場合は、保険会社が設けている告知専用のフリーダイヤル等に問い合わせを行なうと間違いがないですね。

保険会社は告知義務違反が疑われる場合、実際に病歴などを病院へ確認する事もあります。告知義務違反が発覚した場合は、保険会社から契約を解除されてしまうこともあります。また、保険金受け取り時に正しくない告知をしていたために告知義務違反に問われ、保険金が支払われない可能性もあります。多少の手間は掛かっても保険金受け取り時のトラブルを防ぐためにも、間違いがないかどうか慎重に記入しましょう。

告知義務違反をするとどうなる?

告知義務違反が発覚した場合、保険会社は保険契約を結んだ時から2年間は解除する事が可能です。この制度を利用して、告知義務違反をして保険に加入しても、規定の年数が経つと解除されないから数年間発覚しなければ良い、と考える方もいます。しかし、保険の責任開始期から2年以上が経っていたとしても、契約を解除される可能性はあります。

告知義務違反を理由に保険契約を解除されてしまうと、支払った保険料は原則返還されませんし、保障期間中に発生した事案の保険金も支払われることはありません。もし加入後に不正確な告知内容があったと分かった場合は「追加告知(告知訂正)」を行う事ができます。追加告知を行うことで、保険会社からの一方的な契約解除はほとんど避けられますが、数年間保障しない期間が設けられる可能性など何らかの条件が付く場合があります。

また、仮に保険の営業担当者から虚偽の申告を勧められた場合は「不告知教唆」にあたり保険会社は契約を解除できません。しかし、そのような事実があったことを立証するのは非常に難しいため、告知は自己責任であることを忘れてはなりません。正しくない告知はすべてを無駄にしてしまう大きなリスクを背負うことになりますので、ありのままを正確に記入しましょう。

保険契約の解除という事は?

上記でも記載しているとおり、保険契約の解除が行われると、既に支払った保険料は原則戻ってくることはありませんし、保障期間中に発生した保険金や給付金の支払いもありません。また、解約返戻金がある場合は返還されます。これまでの内容を読んで分かるとおり、正確に告知をしないことによる損失はとても大きいですよね。せっかく契約した保険が無効になってしまわないよう、告知は慎重に行うことが大切です。

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この記事を書いた人

奥寺 佳彦

株式会社アイ・エフ・クリエイト

日本FP協会認定ファイナンシャルプランナー(AFP)