個人年金保険
個人年金保険に加入するのに最適な時期は?
将来の資産形成のための制度や商品はたくさんありますが、それらを目にしたときに「一体いつから始めるのが妥当なのか」と疑問に思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
年齢が1歳でも若いほど保険料は割安になり、長期間預けることで運用による利益として増額も見込める個人年金保険ですが、一般的にはどのタイミングで検討すれば良いのかは悩ましいところですよね。
ここでは生命保険文化センターの「平成27年度 生命保険に関する全国実態調査」より、年齢別の世帯加入率や加入している基本年金年額、また個人年金保険を始めるのに向いている人の特徴などをご紹介したいと思います。
■もくじ(ページ内リンク)
世帯主の年齢別による加入率
老後の生活に備える資金づくりは、若い年代であるほど「まだまだ先のこと」として感じている方も多いかもしれません。そもそも老後の備えとは「定年後から亡くなるまでの生活資金」で、どのくらい必要になるのかがわからず、長生きすることで必要な資金が高額になることも考えられます。
まとまった資金を準備するためには、短期間で一気に貯めることはなかなか難しく、少しずつ着実に貯めながら運用していくほうが負担も少なくて済みますよね。
では実際の資金づくりとして、どのくらいの人がいつ頃から個人年金に加入しているのでしょうか。
〈 個人年金保険の世帯加入率(全生保) 〉
平成27年 | 平成24年 | 平成21年 | |
世帯加入率 | 21.4% | 23.4% | 22.8% |
基本年金年額(世帯) | 101.0万円 | 117.2万円 | 111.9万円 |
(世帯主) | 83.7万円 | 109.7万円 | 94.9万円 |
(配偶者) | 74.1万円 | 68.4万円 | 76.4万円 |
世帯年間払込保険料 | 17.9万円 | 19.3万円 | 18.9万円 |
世帯ごとの加入率は平成27年の統計で21.4%となっており、およそ4~5世帯のうち1世帯が個人年金保険を活用した準備をしていることがわかります。
加入している基本年金年額(1年間に受けとれる年金額)の平均額は101.0万円で、約月8万4,000円が公的年金に上乗せされる計算になります。
〈 個人年金保険の世帯主年齢別による世帯加入率(全生保) 〉
平成27年 | 平成24年 | 平成21年 | |
全体 | 21.4% | 23.4% | 22.8% |
29歳以下 | 8.8% | 3.9% | 3.7% |
30~34歳 | 13.9% | 16.7% | 12.2% |
35~39歳 | 16.6% | 14.9% | 18.6% |
40~44歳 | 21.2% | 28.0% | 28.0% |
45~49歳 | 26.3% | 25.9% | 25.7% |
50~54歳 | 25.8% | 30.3% | 30.4% |
55~59歳 | 28.8% | 32.3% | 31.0% |
60~64歳 | 28.8% | 27.4% | 24.5% |
65~69歳 | 25.0% | 24.1% | 20.9% |
70歳以上 | 13.9% | 17.3% | 18.1% |
年齢別での加入率を見ると30代から徐々に上がっていき、40代から一気に上昇しているのがわかります。近年の晩婚化などの影響もあり、30代半ばから40代の時期に結婚や出産があり将来の計画を立てるきっかけで加入する人や、子育てがひと段落したことで経済的に貯蓄する余裕が生まれて始める人などが多い年代。ライフステージの変化に伴い、老後の生活を意識するきっかけとなっていることが伺えます。
老後の生活費を準備する方法と必要な生活費についてのページの詳細はこちらでご覧いただけます。
加入を検討するのに良い時期
ここまでを踏まえて、個人年金の加入に最適な時期とは以下のようなことが挙げられます。
■自分自身が老後の生活を考え始めたとき
■毎月の保険料負担が過大になる前の時期
個人年金保険は無理に急いで加入しても、継続して貯めていかなければ意味がありません。経済的なゆとりができ、ご自身が始めようと考えたときでも十分に間に合います。
また、個人年金保険では受け取り開始の年齢をご自身で設定することができます。例えば会社の早期退職にも備えられる60歳以下や、公的年金の支給開始に合わせた65歳~70歳など、希望に合わせた契約が可能です。
ですが受け取り開始年齢を早めに設定する場合や、年齢が上がってから加入する場合では、払込期間が短くなり毎月の保険料が大きな負担になってしまいます。
「もっと早く始めておけばよかった」と後悔しないためにも、「何歳から始めるのが自分にとって妥当か」を先に把握しておくことをおすすめします。
個人年金保険が必要な人とは
個人年金を活用したほうが良いタイプは、以下のような人に向いています。
①自分で貯蓄をするのが苦手で半強制的に貯めたい人
毎月の収入の中から決められた金額を貯めようと思っていても、いつの間にかあるだけ全部使ってしまうなど貯蓄の苦手な人には、こういった商品を利用することは良策です。
他の支払いなどと一緒に銀行口座から引き落とされることで、ご自身でお金を移さなくても毎月きちんと貯蓄に回すことができ、なおかつ簡単には引き出せないという制限も発揮します。
ただし万一途中で解約してしまうと解約返戻金は払い戻されますが、支払った保険料よりも目減りしてしまい、結果的には損をしてしまいます。
加入する際には無理なく続けられる保険料で契約することが大切です。
②余裕資産はあるが運用することが苦手な人
収入が多く生活にゆとりのある人や、余裕資金として銀行に寝かせてある人も、ローリスク・ローリターンな運用として活用しやすいでしょう。
銀行の定期預金に預けておくよりも高い利率で預けておくことができるほか、節税対策としても効果的です。要件を満たした個人年金に加入している場合には、最大で4万円までの所得控除を受けることができ、老後資金を確保しながら税金を安く抑えてくれるという二重のメリットがあるからです。
投資によるリスクを避けたいけれど、何か少しでも運用して増やしたいのであれば検討してみることをおすすめします。
③自営業者など厚生年金がない人
公的年金が国民年金のみの場合には、厚生年金に加入している会社員の人に比べて、将来受けとれる年金額は極端に少なくなってしまいます。
何十年間続くかわからない老後生活を考えると国民年金だけでは不足してしまいます。貯蓄や年金の上乗せによる自助努力でのカバーが必要となりますので、確実に老後のために残せる個人年金保険は利用しやすい商品です。
支払期間の定められた確定年金または一生涯保障の終身年金、円建ての商品から外貨建てや変額保険など、いろいろな種類の特徴や利率を比較しながら、ご自身の意向に近いものを探してみるのも良いかもしれません。
まとめ
最近では低金利の影響から2017年4月以降は予定利率が大幅に引き下げられ、積立タイプである個人年金保険の保険料の値上げや利回りの低下がありました。
なるべくなら保険料の安い時期や利回りの良いタイミングで加入したいと思うのが心理ですが、あまりにも動向を気にしすぎて目先の保険料に振り回されてしまうことはよくありません。
保険に入る本来の目的であるリスク回避を一番に考え、どの商品が相応しいのか見極めることを重視して検討するようにしましょう。
ご自身の年齢で個人年金保険の保険料を試算されたい方は生命保険比較サイト「i保険」個人年金保険ページをご覧ください。
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この記事を書いた人
奥寺 佳彦
株式会社アイ・エフ・クリエイト
日本FP協会認定ファイナンシャルプランナー(AFP)