生命保険のいろは

ひとり親家庭の支援制度や助成制度について

ひとりで仕事と子育てをして、生計を立てるというのはとても大変ですよね。国や地方自治体にはこうした家庭を支えるための支援制度や助成制度などがあるのはご存知でしょうか。

制度を受けるにあたっての条件や収入など制限もありますので、どんなものがあるのかを簡単にご紹介します。

■もくじ(ページ内リンク)

さまざまな手当や助成の種類

すべての家庭を対象とした制度

ひとり親家庭を対象とした制度

障害手帳をお持ちのお子さまを対象とした制度

最後に

さまざまな手当や助成の種類

すべての家庭を対象とした制度

■児童手当

以前は「子ども手当」という名称でしたが、現在は「児童手当」へと改称されています。

児童手当は国内に住んでいる児童(0歳から18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子をいいます。)を養育している方が助成金の支給対象です。支給は、毎年2月、4月、6月、8月、10月、12月(偶数月)に、それぞれの前月分まで(2か月分)を支給されます。また、2024年10月分から制度が改正され、所得制限が撤廃されました。今後は所得にかかわらず全額支給されます。

児童手当支給額

児童の年齢 毎月の支給額
3歳未満(第1子、第2子) 15,000円
3歳未満(第3子以降) 30,000円
3歳から高校生年代(第1子、第2子) 10,000円
3歳から高校生年代(第3子以降) 30,000円

〈こども家庭庁ホームページ参照〉

■乳幼児医療費助成

乳幼児の医療費の全額または一部を助成してくれる制度で、健康保険に加入すれば乳幼児医療費助成制度を受けることができます。自治体によって支給要件が異なります。3歳未満までを対象としている地域もあれば、高校卒業までを対象としている自治体があります。また、所得制限を設けている自治体もありますので、助成制度を利用される方は、一度お住まいの市町村へご確認ください。

小さな子供は特に、病院にかかる機会が多いので医療費の助成制度を受けることができるのはとてもありがたいですよね。

■保育料の免除と減額

保育料はお住いの市区町村により、子供の保護者の前年の住民税額や、災害などによる一定以上の損失を被ったことなどにより決定されます。家庭の収入が減れば減額されますし、低所得で市民税非課税世帯であれば、免除となる場合もあります。

ただし、同居している人がいる場合は注意が必要です。同一世帯での合計所得で算出されますので、同居している方の所得も加算して算出され、免除や減額にならない場合もあります。

また、自治体によっても異なりますが、保育料は2人以上の入園だと半額になり、3人目以降は保育料が免除されることがあります。

■国民年金や国民健康保険の免除

ひとり親になり、収入が減ってしまった場合の年金や保険料などの公的費用はかなり負担になりますよね。収入が減り、保険料を納めることが困難と認められた場合、減免を受けることができます。

国民健康保険の減額方法・減額割合は市町村によって異なりますが、一般的には前年の世帯所得水準と世帯内の加入者数に応じて7割・5割・2割の「減額」になります。

減額されても支払いができない場合は、申請することで市町村が定めた一定の割合を「免除」することができます。また、生活保護を受けているなどの特別な事情がある場合、保険料の「全額免除」を受けることができます。なお、国民健康保険の減額・免除の申請は7日前までに行わなくてはなりませんので、申請日を過ぎることの無いよう注意が必要です。

国民年金の支払いが難しい場合は「国民年金保険料免除・納付猶予制度」の手続きを行うことで保険料納付の納付が猶予されたり、免除を受けたりすることができます。

国民年金は前年の本人・配偶者・世帯主の所得によって、免除を受けられるかが決まります。免除を受けられる額は、全額・4分の3・半額・4分の1の免除割合となります。また、20歳~50歳未満で本人と配偶者の前年の所得が一定額以下の場合、申請書を提出後に承認されると保険料の納付を猶予されます。

また、余裕ができたら免除や猶予になった保険料を後で納付することもできます。

ひとり親家庭を対象とした制度

■児童扶養手当

児童扶養手当は、以前「母子手当て」と呼ばれていました。ひとり親家庭の生活の安定と子どもの福祉増進を図る目的で支給される手当です。父母の離婚などによるひとり親家庭で、子どもを養育している世帯に対して子どもが18歳になるまで各自治体から支給されます。

支給額は、養育する子どもの人数や収入に応じて異なります。

児童扶養手当の月額(2024年4月~)

区分 全額支給 一部支給
児童1人 45,500円 45,490円~10,740円
児童2人目 10,750円 10,740円~5,380円
児童3人目以降(1人につき)
(2024年11月分~)
児童2人目と同額

 手当額の算出は、受給者または扶養義務者の前年度の所得に応じて決定されます。

所得の限度額は以下となります。

所得制限限度額(2024年11月~)

扶養親族等の数 受給資格者本人 扶養義務者等
全額支給 一部支給
0人 690,000円 2,080,000円 2,360,000円
1人 1,070,000円 2,460,000円 2,740,000円
2人 1,450,000円 2,840,000円 3,120,000円
3人 1,830,000円 3,220,000円 3,500,000円

※以降扶養人数が1人増えるごとに380,000円加算されます。
〈こども家庭庁ホームページ参照〉

手続きの際は、お住いの市町村にて申請を行い、住民票や所得状況の分かる書類などが必要となります。支給は、子どもが18歳に到達する日以降の最初の3/31まで、毎年1月、3月、5月、7月、9月、11月(奇数月)に、それぞれの前月分まで(2か月分)を支給されます。

■児童育成手当・児童遺児手当など(都道府県からの支援制度)

お住いの地域によって名称は異なりますが、都道府県や市町村から支給される手当です。支給される要件や支給額などは自治体により若干異なりますが、各自治体で定められた所得制限を越えると、手当は支給されません。支給は毎年6月・10月・2月の年3回あります。

■ひとり親家庭等医療費助成制度

自治体より医療費の自己負担分の一部助成が受けられる制度です。なお、所得制限などは自治体により異なることがありますので、詳細はお住まいの自治体のホームページ等をご確認ください。

乳幼児医療費助成と違う点は子供だけではなく、養育する親にも助成制度が適用され、子供が18歳に達した年度末まで受けることができます。経済的に厳しいひとり親家庭でも、きちんと医療を受けるための制度で、毎年更新が必要となります。親子どちらも使えるありがたい制度ですね。

■母子家庭・父子家庭の住宅手当など

18歳もしくは20歳未満の子どもを養育するひとり親家庭で、月額10,000円以上の家賃を払い民間のアパートなどに居住している場合、家賃の一部を補助する制度です。

この制度は国が行っているものではないので、地域によっては制度が無い場合もあります。また、支給条件、支給額などもさまざまです。

■寡婦控除・寡夫控除

ひとり親で以下のいずれかに当てはまる場合に、所得控除を受けられる制度です。

また、寡婦の方で次の要件を全て満たす場合には、「特別の寡婦」として控除が受けられます。

確定申告書の「寡婦控除・寡夫控除」の欄にチェックを付けて申告するだけで控除を受けられます。申告漏れが多いので、忘れずにチェックしましょう。

控除額

区分 所得税の控除額
寡婦・寡夫控除 27万円
特定の寡婦控除 35万円

障害手帳をお持ちのお子さまを対象とした制度

■特別児童扶養手当

介護と子育て、そして生計の維持を両立することはとても困難かと思います。思うように働けない状況での負担を軽減させるために、支給される手当があります。精神または身体に障害を持つ、20未満の子供を家庭養育している場合に支払われるもので、支給月は原則として4月・8月・12月に支給されます。

支給月額(2024年4月~)

1級 55,350円
2級 36,860円

なお、受給には所得制限があり、本人または扶養義務者の前年の所得が下記の限度額以上であるとき、手当ては支給されません。

所得制限額

扶養親族等の数 本人 配偶者および扶養義務者
収入額 所得額 収入額 所得額
0人 6,420,000円 4,596,000円 8,319,000円 6,287,000円
1人 6,862,000円 4,976,000円 8,586,000円 6,536,000円
2人 7,284,000円 5,356,000円 8,799,000円 6,749,000円
3人 7,707,000円 5,736,000円 9,012,000円 6,962,000円
4人 8,129,000円 6,116,000円 9,225,000円 7,175,000円
5人 8,546,000円 6,496,000円 9,438,000円 7,388,000円

〈厚生労働省ホームページ参照〉

■障害児福祉手当

精神または身体に重度障害を持っていることで、日常的に介護を必要とする状態にある在宅の20歳未満の者に支給されるもので、 支給月額(2024年4月~)は15,690円で、原則として2月・5月・8月・11月の年4回支給されます。受給には所得制限があり、本人または扶養義務者の前年の所得が下記の限度額以上であるとき、手当ては支給されません。

所得制限額

扶養親族等の数 本人 配偶者および扶養義務者
収入額 所得額 収入額 所得額
0人 5,180,000円 3,604,000円 8,319,000円 6,287,000円
1人 5,656,000円 3,984,000円 8,586,000円 6,536,000円
2人 6,132,000円 4,364,000円 8,799,000円 6,749,000円
3人 6,604,000円 4,744,000円 9,012,000円 6,962,000円
4人 7,027,000円 5,124,000円 9,225,000円 7,175,000円
5人 7,449,000円 5,504,000円 9,438,000円 7,388,000円

〈厚生労働省ホームページ参照〉

最後に

これまでご紹介した制度を利用するときには申請が必要です。毎年更新するための手続きが必要となりますので、所得の状況によっては助成が減額や停止になることもあります。

万一、更新の手続きを忘れてしまうと受給できなくなってしまうものもありますので、忘れず行うようにしましょう。