生命保険のいろは

先進医療特約の詳しい内容と必要性について

医療保険に加入するときの特約付帯の選択肢に、先進医療特約があります。
保険料は100円前後で付帯できる手頃な特約ですが、実際にどのような時に役立つ保障なのか、または付帯する必要性や注意点などをわかりやすくご紹介します。

■もくじ(ページ内リンク)

先進医療とは?

どんなときに使えるの?

先進医療特約は必要か?

先進医療特約を付加する際の注意点は?

まとめ

先進医療とは?

先進医療とは、厚生労働省が定める最新の医療技術を採用した治療や薬を選ぶことによって受けられる治療です。
ある程度の実績を積んで確立しているため安全性と治療効果は確保されていますが、保険診療の対象とするかはまだ検討中で、医師が治療に適応と診断し希望した場合には、先進医療費を全額自己負担することにより受けることができます。

通常の治療と共通する部分に関しては健康保険が適用となりますので、自己負担の限度額を超えれば適用部分のみ高額療養費制度を利用することも可能です。

(例)総医療費が100万円、うち先進医療にかかる費用が20万円だったケース
1.先進医療にかかる費用の20万円は全額自己負担
2.通常の治療と共通する部分(診察、検査、投薬、入院など)は保険として給付される部分

出典:厚生労働省「先進医療の概要

令和5年8月1日現在で81種類の先進医療が存在していて、中には先進医療から外れる治療や健康保険の対象になる治療もあるため、その種類や実施医療機関は変更されることがあります。

どんなときに使えるの?

先進医療は希望すればすぐに受けられるわけではなく、患者であるご本人が希望して、医師がその必要性と合理性を認めた場合にのみ、厚生労働省から承認を受けている保険医療機関(大学病院など)で治療や手術などをうけることができます。

そのため遠方まで治療に通う必要が出てくることも多く、その場合には医療費以外にも交通費や宿泊費なども必要となってきます。

ですが、治療の効果が高く身体への負担も少ないのであれば、なるべく出費などを気にせずに治療に専念したいですし、周りの方々にとっても良い治療があるのなら受けて治してほしいと思うのが本意かと思いますので、いざ受けるとしたらどの程度の治療費用がかかり自己負担となるのは気になりますよね。

【先進医療の費用の目安】

先進医療の技術が使われた主な例としては、がん治療のための陽子線治療や重粒子線治療など、数万円のものから数百万円に及ぶものまでさまざまです。

先進医療技術 技術料
(1件当たり平均額)
平均入院期間 年間実施件数
高周波切除器を用いた子宮腺筋症核手術 301,951円 9.7日 82件
陽子線治療 2,692,988円 14.9日 1,293件
重粒子線治療 3,162,781円 5.3日 562件
抗悪性腫瘍剤治療における薬剤耐性遺伝子検査 37,423円 44.0日 227件
ウイルスに起因する難治性の眼感染疾患に対する迅速診断(PCR方) 28,388円 2.4日 764件
細胞診検体を用いた遺伝子検査 78,072円 6.5日 493件
子宮内膜受容体検査 123,438円 535件

「先進医療を受ける確率はかなり低い」と言われており、実際の患者数と実施件数を比較してもごくわずかではあり、治療によっては今後健康保険の適用となる可能性も十分にあることから、先進医療特約の必要性を問われる部分は確かにあります。

ですが、下記の表を見てみると実際に受けられている方は1年間でおよそ2万6千人おり、先進医療の費用として約66.7億円強かかっているようです。

先進医療A 先進医療B
先進医療技術数(令和4年6月30日現在) 26種類 57種類 83種類
実施医療機関数(令和4年6月30日現在) 322施設 179施設 428施設
全患者数 25,011人 1,545人 26,556人
総金額 約138.4億円 約13億円 約151.4億円
保険外併用療養費の総額(保険診療分) 約77.3億円 約7.3億円 約84.6億円
先進医療費用の総額 約61億円 約5.7億円 約66.7億円
1入院全医療費のうち先進医療分の割合 44.1% 43.7% 44.1%

出典:厚生労働省「令和4年6月30日時点で実施されていた先進医療の実績報告について

今後も最新技術が増えていき種類も変化していく可能性があることや、実際に万が一の病気の際には先進医療を受ける機会があることをふまえて考えると、先進医療を受けたときは全額自己負担であり、先進医療の技術料には高額な費用がかかる点は気になりますよね。

例えば健康保険の自己負担額に高額療養費が適用されたとしても、限度額の範囲内で医療費はかかります。これに加えて、健康保険適用外である差額ベッド代や食事代などがかさみ、そのうえで先進医療費を全額自己負担しなくてはならないとなると、たとえ医療保険に加入して入院や手術給付金を受け取ったとしても、治療費用によっては高額な支出となり貯蓄を削ることにもなりかねません。

1入院時の自己負担費用などは入院の費用ってどのくらいかかるの?のページでご確認いただくことができます。

療養後すぐに仕事復帰できるのかなども考慮すると、なるべく手元にある現金は残しておいた方が安心して治療に専念できますよね。

先進医療特約は必要か?

大まかな先進医療の概要や頻度を考慮すると、絶対に必要とは言えませんが、やはり万が一のことを考えると高額な費用を支払う可能性はあります。
付帯する際の保険料も月に100円前後と安価で家計への負担も少なく、何より「お金が高額にかかるところに保障を持つ」ことを第一に考えるならば、医療保険への加入を検討する際には付帯したほうが安心できるのではないでしょうか。

また、最近では先進医療を受けた際に一時金がプラスで受け取れたり、患者申出療養を保障対象とする商品も増えてきました。頻度こそ低いですが、一時金として交通費や宿泊費用の補填を受け、先進医療の治療を後押しするような商品の進化はありがたいですね。

先進医療特約を付加する際の注意点は?

先進医療特約には保険会社による保障上限額があるため、同じ保険会社で重複して付けることはできません。違う保険会社との重複であれば、申し込みは可能ですが、受け取る際に保険金を2社から満額で受け取ることができないのが一般的なので、保障の重複には注意しましょう。

ちなみに医療保険以外のがん保険でも先進医療特約が存在します。(がん先進医療特約)。がん保険に先進医療特約を付帯した場合、保障の範囲が“がん治療のみ”となります。一方で医療保険に先進医療特約を付帯した場合、がんを含めたすべての治療が対象となります。先進医療の保障の範囲を広げたい場合は、がん保険ではなく医療保険に特約として付帯することを検討してみるとよいでしょう。

まとめ

先進医療は「最新の医療技術」ということもあり、身体への負担が少なく、治療の際の痛みが少ないものや効果の高い治療法が存在することから、病院で薦められることやご自身で希望されることもあるかもしれません。いざとなった時の大きな経済的損失を考えると、数百円という手ごろな保険料で備えることができるのは嬉しいですね。いざという時の頼れるお守りとして、先進医療特約を1社付帯しておくと安心していただけると思います。

医療保険をご検討の方は生命保険比較サイト「i保険」医療保険ページをご覧ください。