生命保険のいろは

自営業者に必要な生命保険選び

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日本の公的年金制度には国民全員が加入する「国民年金」と会社員(公務員)が加入する「厚生年金」(共済年金)があります。

自営業者などの個人事業主の世帯では、厚生年金部分の保障がないため、会社員の世帯と比べると将来受け取れる公的年金が少なくなってしまいます。さまざまなリスクにご自身で備えていかなければいけません。しかし、高額な保険料を払いたくさん保険に入れば安心なのかというとそうではなく、リスクを把握し分散させ、無理のない保険料で長期間継続していくことが大切です。

自営業者のような国民年金第1号被保険者の方がどういったリスクに備えれば良いのかなど、公的な制度とともにご紹介します。

■もくじ(ページ内リンク)

自営業の方が備えるべきリスクとは?

公的な保障はどのくらいある?

最後に

自営業の方が備えるべきリスクとは?

前述している通り、会社員と自営業者は加入できる公的年金の種類が異なります。自営業者の方は雇用保険や労災保険には加入することができません。

自営業者の方が利用できる国民年金の主な保障は、老後に受け取れる「老齢年金」、死亡してしまった時にご遺族へ支払われる「遺族基礎年金」、障害を負って働くことができなくなってしまったときに支払われる「障害基礎年金」です。

国民年金と厚生年金がどちらも受け取れる場合と比べると、「遺族年金」や「障害年金」は国民年金と厚生年金をもとに支給金額が決定されるため、国民年金しか加入しない1号被保険者は受け取れる金額が少なくなってしまいます。

このことから考えると、下記のような保障を手厚くして、万一の時に備えておく必要があります。

■けがや病気をしたときの傷害保険や医療保障、休業中の所得補償など

■重度障害になったときの補償や万が一のときの遺族保障

■老後の生活資金

けがや病気で働けず就業不能になってしまったとき、健康保険や労災保険に加入している会社員の方などは傷病手当金や休業補償給付金を受けられるケースもあります。しかし、自営業者の方が就業不能になってしまったとき、公的保険で支払われる給付などはありません。そのため、万一働けなくなってしまった場合は、治療費用がかかる他にも、その期間中の収入がゼロになってしまうリスクがあります。

このようなリスクを回避するため、治療費と収入を補うための医療保障や、所得保障保険などの検討が必要です。

しかし、一時的な治療費や休業に対応できる程度の貯蓄が十分にあれば、保険金額の増額や新しく契約する必要はなく、不足分を補填する目的として保険で備えるなどの活用法が合理的かと思います。

医療保険はもちろんのこと、働けなくなってしまった際の所得補償や、万が一のときの死亡保障、老後の生活資金の準備など、大きなリスクに対する保障を手厚くすることが大切でしょう。

公的な保障はどのくらいある?

万が一のときの死亡保障を準備するにあたり、公的な保障がどのくらいあるのか確認していきましょう。

【遺族年金から支給される保障】

遺族基礎年金の支給 遺族基礎年金は国民年金加入中の方が亡くなった時、その方に生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」が受給できます。
平成29年4月分からの年金額
■子のいる配偶者・・・779,300円+子の加算額
■子・・・・・・・・779,300円+子の加算額
子の加算額・・・第1子・第2子 各224,300円
第3子以降 各74,800円
※子とは、18歳到達年度の末日までにある子、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の子となります。
※受給できる場合は、死亡一時金は支給されません。
寡婦年金の支給  亡くなった夫の国民年金納付期間(免除期間を含む)が10年以上あり、婚姻関係が10年以上継続した場合、生計を維持されていた妻は60歳から65歳までの間、夫が受け取るはずだった老齢基礎年金額の4分の3を受給することができます。
死亡一時金の支給  国民年金の第1号被保険者として納付していた期間が36月以上ある方が、老齢基礎年金や障害基礎年金を受け取らずに亡くなってしまった場合、同一生計の遺族に支払われます。
納付期間に応じて、120,000円から320,000円が支給されます。遺族基礎年金を受け取る場合の支給はありません。※ 寡婦年金を受給できる場合は、どちらか一方を選択できます。

遺族基礎年金は、残された子どもの養育費をまかなうための年金ですので、「子どもがいる」ということが支給用件となります。支給要件を見てみると、遺族に支給される年金は18歳未満の子供がいない場合、寡婦年金もしくは死亡一時金の保障のみとなることが分かりますね。

 

遺族基礎年金の受給額の目安

上記の表にも記載しているとおり、遺族基礎年金額779,300円です。この金額に子の加算額が足されていきます。具体的な遺族基礎年金の支給額は以下のとおりとなります。

平成29年度4月以降の年金額目安

遺族基礎年金
子供あり
(18歳未満)
子供1人 年額1,003,600円
(779,300円+224,300円)
子供2人 年額1,227,900円
(779,300円+448,600円)
子供3人 年額1,302,700円
(779,300円+523,400円)
子供なし
(18歳以上)
65歳未満
(夫の死亡時に40歳未満)
支給なし
65歳未満
(夫死亡時に40歳~64歳)
支給なし

会社員の方はこれらの遺族基礎年金に上乗せして、遺族厚生年金からも支給があります。しかし、自営業者の方は厚生年金には加入していないため、会社員の方と比べると受け取れる金額は少なくなってしまいます。

万一のときのことを考えると、会社員の方よりも死亡保障を手厚くする必要があることが分かりますね。

死亡保険金を一括で受け取る終身保険や通常の定期保険のほかにも、収入保障保険という毎月決まった保険金額を遺族が年金のように受け取れる死亡保険もあります。

公的保障では足りない分を民間の保険を利用して備えることで、ご遺族に残せる金額や期間を明確に決めることができるため、将来設計がしやすくなります。ご自身が亡くなってしまった場合の事業に関する必要資金や、ご遺族への生活保障、お葬式代などを考慮し、保険商品を活用してご遺族が生活に困らないように備えましょう。

 

障害基礎年金

障害年金は障害基礎年金と障害厚生年金があります。国民年金では一定の障害状態(1級・2級)になった場合、障害基礎年金から支給が受け取れます。

支給額は障害の程度によって異なります。2級は779,300円+子の加算、1級は974,125円+子の加算となります。

※子の定義や子の加算額は、遺族基礎年金で説明している条件と同一です。

重い障害が残り、働けない状態になってしまうと、その後の生活面で不安が大きいですよね。

障害年金も「障害基礎年金・障害厚生年金」が受け取れる会社員に比べて、障害基礎年金しか受け取ることができない自営業者は、保障が十分とは言えません。介護保険や年金などで備えをしておく必要がありますね。

就業不能保険への加入や、死亡保険に加入する際にも「保険料払込免除特約」や「高度障害保険金」などの特約を付けたり、国民年金基金や確定拠出年金なども併せて検討しましょう。

 

保険金額別・生活できる年数

下表は生命保険文化センターによる、保険金を切り崩しながらどのくらいの期間生活できるのかを計算した一覧になります。

加入の保障額で大体どの位まかなえるのか、必要な保障額はいくら位なのかなどを目安として、公的制度と併せて参考にしてみてください。

「どれくらいの保障額が何年分の生活の備えになる?」

年間取り崩し額
保険金額
120万円
(月額10万円)
180万円
(月額15万円)
240万円
(月額20万円)
300万円
(月額25万円)
360万円
(月額30万円)
420万円
(月額35万円)
480万円
(月額40万円)
10,000万円 175年 80年 53年 40年 32年 27年 23年
8,000万円 108 58 40 30 24 21 18
7,000万円 86 48 34 26 21 18 15
6,000万円 68 40 28 22 18 15 13
5,000万円 53 32 23 18 14 12 10
4,000万円 40 24 18 14 11 9 8
3,000万円 28 18 13 10 8 7 6
2,000万円 18 11 8 6 5 4 4

注:受け取った保険金を毎年取り崩しながら、残金を年利1%で運用するものとして計算。            出典 (公財)生命保険文化センターより

最後に

自営業者は公的年金で受け取れる金額が少なくなる分、万が一の時の備えがとても重要です。保険を手厚くすれば、その分保険料が高くなってしまいます。

ライフプラン表などを作成し、必要な保障や保険の見直しもできますので、プロのファイナンシャルプランナーへ相談されてみてはいかがでしょうか。『保険のプロ』による生命保険無料相談のご案内ページから無料相談ご予約いただけます。