日本人の平均寿命をご存知でしょうか。男性が80.79歳、女性が約87.05歳と世界屈指の長寿大国です。安心して暮らせる老後のために若いうちから考えておかなければいけない問題が、将来の生活費としてのまとまった資産の形成です。さまざまな制度が用意されている中で、選択肢のひとつでもある個人年金保険を活用した資金づくりは本当に有効なのでしょうか。資産形成を考える際の注意点や、保険を活用する上でのポイントなどをご紹介していきます。
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貯蓄を始める際の注意点
現代では医療も発達し長生きをされる方がとても多くなりました。喜ばしいとされる長寿ですが、一方で「長生きリスク」として老後の生活に不安を抱える方も多くいらっしゃいます。
長生きリスクというのは長生きをすることで発生するリスクのことをいいます。高齢になるとどうしても身体の機能が衰えてしまい、加齢によって高血圧や脳疾患、心疾患などの病気リスクが高くなります。また、治療も長期化する傾向にあり、重い病気にかかってしまうと保険適用外の先進医療による治療が必要になってくる可能性があります。収入がない、もしくは現役時代と比べて減ってしまっているときは医療費もかなりの負担になってしまいますよね。
定年してから平均寿命を迎えるまでの数十年という長い年月の生活に備えるために、ご自身の環境や背景、公的年金と照らし合わせ、どのくらいの資金が必要なのかをシミュレーションし、把握する必要があります。
老後の生活費を準備する方法と必要な生活費についてのページでは、老後の平均生活費について書かれています。このページで確認すると、老後夫婦2人で最低限必要になってくる生活費は平均22.3万円となっています。また、旅行や趣味などを楽しむために必要なゆとりのある老後生活を送るためには平均で36.6万円となっています。
定年退職後の収入が公的年金だけになってしまうと、賄いきれない金額は自助努力による備えが必要です。年金が支払われるとしても、一定のお金が必要になってしまうのは、とても大変ですよね。
資産形成で考えるポイント
老後資金に限りませんが、資産を積立・投資・運用する上で大きな味方となるのが「時間」です。宝くじでも当たらない限り、大きなお金を貯めるにはそれなりの時間が必要ですよね。
長期的な投資は短期的な投資に比べて、リスクが低いとされています。また、個人年金保険での積み立ても契約年齢が高くなればなるほど、保険料は高額になり、選択肢が減ってしまいます。年齢によっては契約できないケースもあります。また、公的年金も受け取り時期が遅くなる可能性が無いとはいえませんので、老後の資金対策は早いうちからコツコツ行う必要があります。
老後資金の対策方法はいくつかありますが、注目したい点が以下の3つのポイントです。
①安全性・・・元本保証されている、または元本割れを起こしにくいといった、低リスク。
②流動性・・・万が一の必要な際には途中解約できるなど、現金に換金しやすい。
③収益性・・・資金をもとにどれほど増やせるか、というリターンの大きさを表す。
この3つすべてを同時に満たすことは難しく、安全性が優れていればその分収益性は下がってしまいます。金融商品は基本的にリスクに応じたリターンとなりますので、短期投資などのリスクが高い商品はリターンも大きくなります。商品を選択する際には、目的や何を重視するのか判断して取捨選択すること必要があります。
安全性 | 流動性 | 収益性 | |
個人年金保険〈定額〉 | ○ | △ | △ |
個人年金保険〈変額〉 | △ | △ | ○ |
終身保険 | ○ | × | △ |
確定拠出年金 | ○ | × | △ |
定期預金など | ○ | ○ | × |
投資信託 | △ | 商品によって異なる | ○ |
〈リスクの許容〉
ご自身の資産を運用していく上で、どのくらいのリスクを負っても良いのかという度合いは、運用商品を選ぶ際にはとても重要な条件です。
例えば同じ1,000万円の資産であっても、30代と50代ではリスク許容度も違ってきますよね。まだ若い世代の方であれば、これから得る収入がありますので、多少のリスクで万が一損失を出しても取り返すことができます。また自己投資や運用する力を身につける意味でも、運用性の高い商品を検討してみても良いかもしれません。
かといって、高リスクな商品ばかりでは資産形成も安定しませんので、安全性を重視した商品と収益性を重視した商品を組み合わせて、リスクを分散しながらうまく活用することをおすすめします。
40代後半から50代の世代では退職が控えていることを考慮すると、あまりにも積極的な投資はなるべく避けて、元本を守るための安全性を確保することが最も大切です。働いて収入を得ることが難しい老後だからこそ、今手元にある資金やこれから積み立てていく貯蓄はとても大切な「虎の子」です。安易に増やそうとして万が一失敗してしまっても取り戻すことは容易ではないですよね。リスクを避けて安全性を重視した収益による、健全な方法を選択したほうが望ましいですね。
個人年金保険を活用する
個人年金保険は、確実に老後の資金を備えるための制度ですので、長期的かつ「貯蓄をすることが苦手な方」など半強制的に積み立てていきたい方にとってはちょうど良いしくみの商品です。
安全性を重視するのであれば、定額年金で堅実に備えられますし、多少のリスクを許容できるのであれば、変額年金でリターンを期待することも良いでしょう。
※定額年金とは据置期間中、保険会社が運用して、運用成果にかかわらず受け取る年金の額が予め決まっているタイプ
※変額年金とは据え置き期間中、契約者が決められた運用商品の中から選択し、運用するタイプ。最低保障金額が設定されていないため支払い保険料よりも受け取り金額のほうが少なくなってしまう(元本割れ)可能性がある
個人年金保険には、年末調整や確定申告時に受けられる所得控除の節税効果というメリットもあります。
一定の条件を満たせば、個人年金保険料控除を受けることができます。
前提条件として、「個人年金保険料税制適格特約」がついている保険でなければなりません。その上で、下記の条件を満たせば控除を受けることができます。
1.年金の受取人が契約者もしくは配偶者のいずれかであること
2.年金の受取人が被保険者と同一であること
3.保険料の払込期間が10年以上であること(一時払いは対象外)
4.年金の種類が「確定年金」や「有期年金」の場合には、年金受給開始が60歳以降で、受取期間が10年以上であること
年単位で見れば、決して大きな額を節約できるわけではありませんが、何十年もの積み重ねを考えるととてもありがたいですよね。
その他にも保険を活用した資金づくりとして、終身保険の解約返戻金を利用して老後資金を貯めることも多用されています。低解約返戻金型の終身保険へ加入すると、契約してからの期間が長くなればなるほど、解約返戻金の額が増えていきますので、貯蓄性の高い老後資金準備として人気があります。
また、個人年金保険で積み立てていくと、商品によっても異なりますが一定の返戻率が約束されているため、安全性を確保しながら確実に資金を増やすことができます。「元金を減らさず安全性を重視しながら老後資金を確保する」ということを目的とすれば、途中解約すると元本割れするというデメリットもあるが、元本割れしないために解約せず、資金準備ができるので、確実に準備したい方にはおすすめです。
最後に
老後資金を積み立てていくには、なるべく若いうちから始めたほうがメリットが大きく、負担も軽く済みますが、若いほどその後の環境変化も大きく、老後資金計画も変化していくことが考えられます。
最初から無理をせずに始めることや、環境や年齢の変化に伴って今ある資金づくりの方法や運用方法を見直していくことも大切です。
老後の大切な資産ですので、しっかりと把握しながら管理していきましょう。
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